ジョブズも愛した「赤坂青野」おすすめの和菓子を赤坂本店でインタビュー

黒べい、一つぶ、栗蒸し羊羹。

どんなお菓子なんだろう?と想像するお菓子の名前。包装を開ける時のワクワク感。

どれを選んでもとても丁寧で品のある、やさしい味わい。

「お菓子を楽しむ」時間をこれほどまでに堪能させてくれるのは、東京にある赤坂青野の和菓子です。

食べれば食べるほど引き込まれるこの魅力は一体なんだろう。

赤坂青野の和菓子をもっと知りたい!と今回取材をお願いしました。

赤坂の駅を降り、歩くこと約6分。赤坂青野の本店に到着します。

店内には黒を基調としたピンと背筋が伸びる高貴な雰囲気。お話を伺ったのは店長の武田さんです。

店長武田さんのおすすめのお菓子

ーーまずお店の歴史を教えてください

武田:1899年に赤坂の地で創業しました。来年、2019年で120年を迎えます。

もともと青野は台東区谷中出身。

赤坂で創業する前も「青野屋」として飴を売ったり、その後餅菓子を売ったりしていました。

赤坂が商店街として発展し始めたのをきっかけにこの場所でスタートしたのが1899年です。

赤坂もち

ーー長い歴史を歩んできた赤坂青野の人気の和菓子を教えてください。

武田:やっぱり一番は赤坂もちですね。

赤坂もち 開封

「赤坂」という地名が入っていることもあり、とても人気があります。私たちもおすすめしている商品です。

ーーふろしき包みがかわいらしいですよね。5個包の風呂敷は赤坂の古地図が描かれていてお土産にもぴったりです。

中の、赤坂もちの風呂敷は日本画家の加山 又造(かやま またぞう)先生にデザインしていただいたものなんです。先代と仲が良かったようで。

全国的に風呂敷包みのお菓子があると思うのですが、餅ときな粉を一緒に風呂敷で包んだのは赤坂青野が初めだと言われています。

ーー風呂敷包みの発祥だったんですね!赤坂もちは黒糖の練り込まれたコクのあるお餅にくるみの食感が楽しいです。こだわりを教えてください。

武田:赤坂もちは長野県産のクルミを使用しています。クルミの殻皮が入らないように気をつけながらクルミを選別します。

赤坂もち 中身

黒糖は沖縄の波照間産のものを、きな粉は北海道産の大豆を使っていますよ。

赤坂もちに限らず、できるだけ国産の材料を使うように心がけています。

黒べい

ーー続いて人気の商品はなんですか?

武田:黒べいというお菓子です。こちらも3代目が考案したお菓子です。

黒べい 開封

ーー「黒べい」という名前を聞いたとき全く想像がつきませんでした。名前の由来を教えてください。

武田:以前赤坂は料亭街が並び、黒い塀が立ち並んでいたんです。

このお菓子はその塀をモチーフに作られました。

実はこの黒べい、約20年ほど前まで製造を中止していて復刻したお菓子なんですよ。

ーーそれはビックリです…!復刻した理由を教えていただけますか?

武田:黒べいは他にはないちょっと珍しいお菓子。

カステラに羊羹をコーティングし、グラニュー糖をまぶします。とにかく手間がかかるんですよ。

それで一時製造するのをやめていたんですが、お客様の声にお答えして20年前に復刻しました。

ーー最近はコーヒー味も生まれたんですよね。ほろ苦いコーヒーのカステラと周りのお砂糖、とても相性がいいです。

黒べい 中身黒べい 中身 珈琲

武田:ありがとうございます。

コーヒーを使った和菓子コンテストというのがありまして、その時に考え、金賞をいただきました。

黒べいなら相性がいいんじゃないか、ということで作ってみたのですが、まだまだ小豆味の方が人気ですね。これからもっと浸透していけばいいなと思っています。

感謝の喜もち

ーーお土産やおもたせとして使われるお菓子はありますか?

武田:感謝の喜もち、というお菓子があります。

感謝のきもち 開封

こちらはお餅と餡に波照間産の黒砂糖をたっぷりと使用し、和三盆糖をまぶした小さな大福もちです。

感謝状に使う筒に入っていて色は三色あります。

一番人気なのは一般的な黒。次にかわいらしいという理由でピンクもよく売れています。

「寿」の文字が入っているので、お祝いなんかでお使いの場合は白を選ばれる方が多いですね。

ちなみに「喜もち」という感じは「気持ち」と「喜ぶお餅」をかけています。

ーーふふっと思わず笑顔になってしまうかわいいネーミングですね!

一つぶ

ーー最後にもう一つ、オススメを教えていただきたいです。

武田:そうですね…一つぶでしょうか。

こちらの栗饅頭なんですが、栗が丸ごと一つ入っているんです。

ひとつぶ 中身2

今でこそ一粒丸ごと栗が入った栗饅頭が浸透していますが、この一粒栗入りの栗饅頭も赤坂青野の三代目が考案しました。

当時はとても斬新な和菓子として喜ばれたそうです。

気軽に食べられるおやつを目指して

ーーお店に入ってすぐたい焼きのコーナーが気になりました。

武田:たい焼きは本店と赤坂見附店だけで販売しています。

これは東日本大震災の時から販売し始めた商品なんですよ。

お菓子はやはり嗜好品。震災の後はまずは食べるものが優先され、お菓子どころじゃない!とみんなが不安になる時期で、お菓子の売れ行きも下がりました。

そんな時に売り上げの一部を震災義援金への募金活動とし、みんなが気軽に食べれるおやつはなんだろうと考えた時にふと思いついたのがたい焼きだったんです。

ーーなるほど、たい焼きは誰もがほっこりするおやつですもんね。

武田:そうなんです。お菓子は必ずないと生きていけないわけではない、でもお菓子があることでほっとしたり、人を笑顔にしたり、大事な役目があると思っています。

募金活動を終了したときに「やめようか」という話も出たんですが、当初の予想よりも好評だったんです。それで店舗限定商品として残すことになりました。

いまではイートインで食べていかれるお客様もいらっしゃいますよ。

ーーお店にいらっしゃるお客さんはどんな方が多いですか?

武田:幅広い年代層の方がいらっしゃいます。

オフィス街なのでおもたせやギフトとしてお求めになるサラリーマンの方はもちろん、ご近所のご年配の方、最近では塾帰りのお子さんが「青野のあんこしか食べたくない!」なんて買いにきてくださるんですよ。

ーーかわいらしいエピソード!それはうれしいですね!

武田:小さい頃から和菓子に親しんでもらえるというのは本当に嬉しいですね。

私たちの時代と違って、まちの駄菓子屋さんがないということもあるのでしょうか。

コンビニのお菓子で済ませるのではなく、うちに来てくれるのはとても嬉しいなと思います。

国境を超えて愛される青野のお菓子

ーーHPで拝見したのですが、赤坂青野のお菓子をあのスティーブ・ジョブズさんが愛していたとか…!詳しくお聞きしたいです!

武田:直接来店された、というわけではなく私たちも後から知らされたんです。

――後から、ですか?

武田:国際電話でお店に電話がありまして。カタコトの外国の方からでした。

カリフォルニアへ和菓子を送って欲しいと。

ただ私たちも国内なら配送しているのですが、海外となると商品がどうなるかわからない。だからお断りしていたんです。

ーーその時はまだ誰だかわからなかったんですね。

武田:そうなんです。

その後日本人の方がお店にいらっしゃって、「自分が買って、カリフォルニアに送る。それだったらいいだろう」と。

お客様が購入されて、それを送るんだったら私たちは何も言えないので…。

それで2週間に1回、約半年間その方が買いに来られるようになりました。

購入されるのはたくさんの種類が入った詰め合わせでしたね。

ジョブズさんが亡くなってからですね、実はそれを食べていたのがジョブズさんだとわかったのは。

ジョブズさんのシェフの方が書いた本にうちのお菓子の名前があって、逆に問い合わせたんです。

「ジョブズさんがうちの商品を食べていたのって、間違い無いんですか?」と。

そしたら「間違いない」とお答えいただきました。特にあんこを気に入っていただいていたようです。嬉しかったですね。

ーー国境を超えて愛されるのはとても嬉しいですね。

武田:実は少し昔の話なんですが、ハワイで赤坂もちを売っていたことがあって。

懐かしいと言って、ハワイの方が買いに来てくださったりするんです。

これからも国内外問わずいろんな方に喜んでいただけたらいいなと思っています。

伝えたいのは伝統と温もり

ーーこれだけたくさんの商品があり、本店含め5店舗展開していらっしゃいます。職人さんは何人ぐらいいらっしゃるんですか?

武田:職人は5〜6人です。

ーーびっくりです…!もっと多いかと思っていました。

武田:パートで補助的なお手伝いの方はいらっしゃいますが、基本は5〜6人です。

包装などは機械でやる部分もありますが、どの商品も機械のみでできるものってないんです。

大変ですが、手作りだからこそできる温もりをこれからも大事にしていきたいと思っています。

ーー和菓子の文化を守りながらもインパクトのあるお菓子が印象的。赤坂青野のこれからの目標はありますか?

武田:店名には「赤坂」という地名がつき、この場所で100年を超えて続けてこられた。

やっぱり赤坂に、この街に根付いたお店を目指していきたいですね。

お客様が望まれるそれぞれのシーン、シュチュエーションでうちのお菓子を選んでいただけたら嬉しいなと思います。

若い職人たちにも物怖じせず、チャレンジ精神でどんどん挑んでいってほしい。

これまでの歴史を守りながら、新しい和菓子作りをしていけたらいいなと思っています。

さいごに

材料の選別、職人さんの技術、お店の雰囲気、包装、接客。

お菓子に関わる一つ一つが丁寧に行われているからこそ、主役のお菓子がより輝き、よりおいしくなる。

「お菓子を楽しむ時間」をたっぷりと堪能できることが、多くの世代、そして世界へと伝わっていく理由なのかもしれません。

これからも伝統と温もりを、赤坂青野らしい和菓子の形で、赤坂の地から発信していっていただきたいなと思います。

武田さん、どうもありがとうございました!

赤坂青野のお菓子のまとめ

おみやでは、赤坂青野の各商品を食べてみた感想を記事にしていますよ。

気になるものがありましたら、それぞれのお菓子についてもチェックしてみてくださいね。

赤坂青野の店舗一覧

赤坂青野 本店

  • 住所:東京都港区赤坂7-11-9
  • 電話番号:03-3585-0002
  • 営業時間:月~金 9:00~19:00 土 9:00~18:00
  • 定休日:日祝祭(ただし春分・秋分・こどもの日は営業 9:00~17:00)
  • 公式ホームページ:http://akasaka-aono.com/

赤坂見附店

  • 住所:東京都港区赤坂3-1-11
  • 電話番号:03-3586-0007
  • 営業時間:月~金 9:30~21:00 土 9:30~19:00 日祝祭 10:00~17:00
  • 定休日:無休(元旦を除く)

溜池山王サテライト

  • 住所:溜池交差点角 9番出口 六本木通り向
  • 電話番号:03-3585-0002
  • 営業時間:月~金 11:00~19:00

赤坂サカス店

  • 住所:東京都港区赤坂4丁目1-19 赤坂駅TBS側改札前
  • 営業時間:月~金 10:00~19:30 土日祝  11:00~18:00

大丸東京店

  • 住所:東京都千代田区丸の内1丁目9-1 B1F
  • 電話番号:03-6895-2782
  • 営業時間:10:00~20:00(木、金の全館と平日の地階、1階は21:00)
  • 定休日:無休(元旦を除く)